2026年現在のEPの運営システムについて
2026年現在のEPの運営システムについて
On the Management System of the EP in 2026
青山 道乃 Michino AOYAMA(EP幹事)
はじめに
日本イコモスEP(若手専門家)常置委員会は、2026年5月現在、幹事2名、委員16名(主査1名、メンター6名を含む)で構成されています。また、メンターを除く委員・幹事と、関心を持つイコモス会員や学生会員を含め、常時情報を共有しているコミュニティの規模は約50名にのぼり、これらを総称して「EPメンバー」と呼んでいます。本稿では、現在のEPの運営体制と活動内容について紹介します。
1. 世代を超えた運営体制と国際連携
幅広い年代の参加を促すため、運営を担う幹事は「20代幹事」と「30代幹事」を各1名以上配置することとしています。幹事は拡大理事会への出席を通じて日本イコモス全体の動向を把握するとともに、主査やメンターのサポートを受けながら企画・運営・広報の実務を担います。また、国際的な情報収集や渉外活動を強化するため、幹事のうち少なくとも1名が国際イコモスEP日本代表を兼任することとしています。
2. メンター制度と理事との連携
EP独自の仕組みとして「メンター」および「EP担当理事」を置いています。メンターには、日本イコモス国内委員会委員長や国際イコモス理事など、国内外の活動に精通したエキスパートに依頼をしています。さらに、日本イコモス副委員長に「EP担当理事」を依頼することで、日本イコモス全体との円滑な連携を図っています。国内外のイコモスを俯瞰した評価や、専門家としての助言や知見を得られるこの体制は、第一線の先生方と直接議論ができEPの活動をより充実したものとする貴重な機会となっています。
3. 学生会員へのアプローチと活動の広報
「EPメンバー」の枠組みは、規約上「委員」にはなれない学生会員の参加を主な目的としていますが、他委員会の幹事などがオブザーバーとして参加するケースも含まれます。さらに、定期的に一般の学生に向けイコモスを紹介するイベントも開催しています(最新の活動は、本特集内の2026年度 日本イコモス学生会員交流会に報告があります)。2026年からは日本イコモス事務局と連携し、新規学生会員へのEPの周知を一層強化しました。
4. 定例サロンと公開ウェビナー
定期活動として、年4回のオンライン会議「定例サロン」を開催しています。ここでは拡大理事会の報告共有だけでなく、若手研究者との連携の模索、文化遺産保護に関する自由な議論を行っています。今年度は試みとして、日本イコモス会員全体へ広報を広げた公開ウェビナーを組み込むこととしました(最新の活動は、本特集内のEPレクチャー報告「近代日光におけるツーリズムによる文化遺産の再構成-印刷メディアと空間メディアに着目して-」に報告があります)。ウェビナーの企画は、EP委員を中心としたプロジェクトチームを都度組織し進める予定です。
5. 情報共有のデジタル化とアーカイブの継承
日本全国で活動するEPメンバーの連携には、オンラインツールを活用しています。メーリングリストでは、EPの活動の共有や議論に加え、他委員会の動向や文化遺産保護に関する公募やイベントなど、若手専門家のステップアップに資する情報交換を行っています。
また、議事録やレクチャー動画等をストックし、新旧メンバーがいつでも活動をさかのぼれる環境を整えています。若手専門家は所属や立場が流動的であり、EP内での世代交代による活動の断絶が課題となります。筆者自身、2024年の幹事着任当初は戸惑いを感じていましたが、過去のアーカイブに触れることで活動の趣旨を理解し、文化遺産に関する知識も得ることができました。特に文化遺産保護に関する憲章・宣言・決議などは国際的な専門家交流では基本となる共通言語ですが、国内ではなかなか触れる機会が少ないものとなっています。これらの資料や日本語訳、研究論文、報告書を集めて共有をしています(憲章等の原文はイコモス本部のホームページのほか、一部日本語訳は日本イコモス国内員会ホームページで閲覧が可能です)。
6. 新プロジェクト:EPのためのICOMOSガイドブック
新規入会者がイコモスについて理解を深める方法を模索するため、2025年度より「EPのためのICOMOSガイドブック」というタスクチームを始動しました(これまでに公開ウェビナーを1回実施し、2025年夏号の「研究会報告EP(若手専門家)委員会 EPのためのICOMOSガイドブック 第1回「ICOMOSの成り立ちと世界遺産の思想」」に報告がありますのでご参照ください)。これは日本イコモスの活動を俯瞰し、世代を超えて活用できるアーカイブを目指すものです。専門家集団としてのイコモスは属人的な側面を持ちますが、だからこそ一人ひとりの活動と想いを形に残し、より多くの人が触れることのできる機会をつくりたいと考えています。
結びに
他委員会の運営を担当している方におかれましては、ぜひ若手専門家への情報提供やオブザーバー参加をご検討いただけますと幸いです。日本イコモスEP(若手専門家)常置委員会は、イコモスの会員であれば誰でも参加ができるプラットフォームです。EPメンバーになれば情報配信のほか、上記特別な案内を受けることもできますので、会員の皆様はぜひご参加ください。さらに、イコモスへ入会を検討する学生の方が周りにおられましたら、ぜひEPの活動をご紹介いただきますようお願いいたします。
(長谷川逸子・建築計画工房株式会社/早稲田大学)