國學院大學観光まちづくり学部 第5回『観光まちづくりフォーラム』の開催
國學院大學観光まちづくり学部 第5回『観光まちづくりフォーラム』の開催
Kokugakuin University Faculty of Tourism and Community Development The 5th " Tourism and Community Development Forum"
藤岡 麻理子 Mariko FUJIOKA
國學院大學観光まちづくり学部では2024年11月6日に、「第5回「観光まちづくりフォーラム」~持続可能な地域の実現に向けて~」を開催しました(後援:観光庁、日本観光振興協会、日本博物館協会、日本イコモス国内委員会)。観光まちづくり学部は2022年4月に開設された新しい学部です。同フォーラムは、学部が考える観光まちづくりとは何か、持続可能な地域の実現に観光がどのように関わっていくのかについて、議論を深めることを意図し、2020年から毎年開催しています。渋谷キャンパスとオンライン配信のハイブリッドで開催し、観光まちづくりに関わる諸分野の方々など、多くの参加者を得ることができました(会場での参加者167名、オンライン参加登録者183名)。本稿は学部教員の一人として同フォーラムの開催について報告を行うものです。
学長挨拶、NPO法人全国町並み保存連盟事務局長山本玲子氏による来賓挨拶、西村幸夫学部長による開設3年目を迎えた教育の状況を含む学部説明の第一部に続き、第二部では「多様なセッションが響き合う、観光まちづくり」をテーマとするシンポジウムが行われました。島根県海士町、長野県小諸市、青森県八戸市で地域づくりに取り組まれている3名の方から各々の取組みについて紹介をいただいた後、パネルディスカッションに進みました。
島根県海士町の株式会社海士代表取締役の青山敦士氏からは、海士町のまちづくりの経緯や現在取り組まれているジオパークをベースとした観光まちづくりについて、泊まれる拠点Entoや複数業種間で人材共有をする協働組合、大人も含めた島留学についてなど、地域のビジョンと様々な取組みの紹介がありました。長野県小諸市のNPO法人こもろの杜理事長でまちづくりプランナーでもある荻原礼子氏からは、小諸の特徴やまちづくりの経緯と取組みについてのお話のほか、観光や商業の入り込みに対する考え方や次世代の育成への思いが聞かれました。最後に登壇した青森県八戸市の有限会社高森畳工店取締役の高森えりか氏からは、地産品を手がかりにしたまちづくり活動であることにもふれつつ、ご自身が関わる八戸せんべい汁の普及・振興や八戸の朝市に出没するゆるキャラであるイカドンの普及・振興の取組みについて活き活きとした紹介がありました。
その後のパネルディスカッションは、西村学部長と学部学生2名が聞き手となり、先の登壇者の3氏よりさらに話を聞きだす形で進みました。外との交流が中の交流を産むという青山氏の発言、高度成長期の価値観とはナチュラルに異なる現代の若い人たちの感性に期待する荻原氏の発言、趣味がまちづくりの活動で緩やかに仲間を増やしながら楽しんで取り組んでいるという高森氏のスタンスなど、それぞれに惹きつけられるやりとりがありました。また、まちづくりを行う地域のコミュニティの姿が多様になってくる中で、まちの将来像を描き共有することの重要性や、新規参入の事業者を地域の風景をともにつくる仲間とする新しいコミュニティづくりが大切だといったお話は大いに頷けるものだったと思います。学生と登壇者とのやり取りからは、それぞれに異なる立場から観光まちづくりに関わる3名の方のお話は、就職や進路について悩む学生たちを刺激づけるものであったことが伺われました。
観光まちづくり学部では、本フォーラムをシリーズとして今後も開催していく予定です。引き続き、自然・歴史・文化等の地域資源、まちづくり、観光の関わり合いと相乗性、そしてその実践について考え、提示しいく機会にしていきたいと思います。
(國學院大學 観光まちづくり学部 准教授)