ICOMOS Asia Pacific Regional Network 第12回会議に関する報告


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ICOMOS Asia Pacific Regional Network 第12回会議に関する報告

Report on the 12th ICOMOS Asia Pacific Regional Network

宮﨑 彩 Aya MIYAZAKI(AP地域日本EP代表)

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2024年8月3日の日本時間15時から2時間弱、オンラインでアジア大洋州地域会議が開催された。本会議はアジア大洋州地域でのネットワークを強化しながら、情報共有を行うことで、地域での連携の可能性を模索している。本報告はその概要をまとめたものである。

国際イコモスVPのスーザン・マッキンタイヤー・タムヲイ氏からは世界遺産委員会に関する報告があり、日韓外交の結果佐渡の金山が無事登録されたことと、SOCレポートで指摘のあった英国・ストーンヘンジを通過する道路建設プロジェクトが世界遺産委員会後に当該政府によって取り消されたことが発表された。また、今後Indigenousな人々を世界遺産プロセスのすべての段階に含めることが確認され、全体としては成功裏に終わったという報告であった。

その後、ISCの報告が3件あった。フィリピンのジョン・ピーターソン氏よりICAHMでは新たなビュローが立ち上がったことに加え、アフリカ・イニシアチブ、不法輸出入などのテーマを扱った本などの出版が予定されていることが報告された。また、現在ラテンアメリカ・カリブ地域で議論されているキャパビル・ワークショップをアジア大洋州地域でも同じように実施するニーズがあることや、ニューカレドニアでの政治的要因で文化財が危機に瀕していることに関する各国政府の対応についても議論された。ドン・ウォン・チョウ氏からはICOFORTでは2022年からの3か年計画にのっとり、6つの戦略的目標に沿ったアクションが取られている旨、報告があった。なお、ICOFORTの情報はオンラインで確認できる。カイ・ワイズ氏からはICORPの取組が簡単に説明され、カトマンズ地震でICORPのサポートを求めたことからISCとの関係性が深まった経験を踏まえ、今後アジア大洋州レベルの連携を実施したい、という報告があった。

また、2025年のAGAをネパールで、2026年のGAをマレーシアで行うことにつき、それぞれの国内イコモス委員会より報告があった。2025年のAGAについては、10月13日から19日にルンビニで実施する予定であり、現在現地の大学と協議中であることと、それに伴う今後の資金繰りについて相談の可能性があることが発表された。特に一時的ではない施設への支出によって、開催場所となる大学に何らかの形で貢献したいとのことであった。また、2026年のGAについては、10月17~24日にかけてKuchingでの実施を予定しており、そのための準備報告がなされた。

なお、地域レベルで行われるISCなどの情報共有もされた。韓国では、HIAを国内法の枠組のなかで実施できるように整備しているところであるため、HIAに関するイベントをソウル近郊で来年4月中旬に実施する予定とのこと。それに加え、HIAに関するオンラインウェビナーをマラソン形式で実施する提案がインドネシアからなされ、そのためのSteering Committeeが会議中に設置された。最後に、カイ・ワイズ氏からISC20のアンケートに関する呼びかけが行われ、20年ほど前に行われた調査内容の更新を行うため、各国にComparative Global Assessmentについてアンケートが送られたが、アジア大洋州地域内からは一部返信がないことが指摘された。会議後、日本が返答しているかについてはフォローアップがされ、国内委員会内でフォローする必要があるかを確認しているところである。

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