EPオーセンティシティ研究会の京都研修報告


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EPオーセンティシティ研究会の京都研修報告

Report on the Kyoto Field Study of the EP Authenticity Study Group

山田 大樹 Hiroki YAMADA

杉本家住宅見学
研修の様子(杉本家住宅見学)

EP(若手専門家)委員会のオーセンティシティ研究会は、サントリー文化財団の支援を得て、これまでオーセンティシティに関する連続研究会を開催してきました。その一環として24年5月17-19日に掛けて、研究会と見学を含め、京都で2泊3日研修旅行を実施しました。

京都は、長い歴史の中で変化し続け、歴史的な街並みだけではなく、現代の街としての顔も重なっています。「京都らしさ」を、都市構造、寺社/地域の自治、京都の食、祭り、佇まい等々 様々なスケールのオーセンティシティが多層的に存在してつくりあげているものと捉えてみます。これを「ホロニック*・オーセンティシティ」と名付け、一つ一つのオーセンティシティ(京都らしさ)は細胞組織のように単体としても自律して、そして有機的にも繋がって豊かな全体像を生み出しているものとみてみます。

*[Holonic]個々には異質な要素が集合しているにもかかわらず、全体としては調和がとれているさま。個々として自律しているが、全体の一部として関係性を持つ。A.ケストラーがその著書『ホロン革命』(1983年)に提唱した概念。

今回の研修旅行では、このホロニックに展開する「京都らしさ」のいくつかについて、そして、その関係性がつくる「京都らしさ」について考えるため、研究テーマを「京都のオーセンティシティ=京都らしさを考える」と題し、3つの研究会と6つの見学+αを行いました。

EPからは本研修に11名が参加し、その他、観光小委員会や外部ゲストの参加もあり、一軒の元遊郭宿を借りきって合宿する、さながら修学旅行のようになりました。研究会や見学を通して、さらにはゲストを呼びつつの夜のプレゼン大会や納涼床での夕食など多くの学びがありました。そのいくつかについて参加者からのレポートを紹介します。

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研修旅行日程

5月17日(金)

  1. 研究会①「都市景観から考える京都らしさ」@立命館大学歴史都市防災研究所
  2. 講演①-1「京都の都市構造」(講演者:立命館大学 金度源)
  3. 講演①-2「京都の景観政策」(講演者:京都市景観政策課 高橋諒)
  4. 見学①今宮神社〜西新会館(案内:今宮神社総代・新大宮商店街理事 平元俊一)
  5. 夜のプレゼン①「京都らしさとしての京菓子」(プレゼンター:帝京大学 国際日本学科 森崎美穂子)
  6. 夜のプレゼン②「京都市のゲニウス・ロキ 盆地都市・製造都市・職住都市」(プレゼンター:まちむらスタジオ 木村浩之)

5月18日(土)

  1. 研究会②「観光から考える京都らしさ」@立命館大学歴史都市防災研究所
  2. 講演②-1「京都観光のオーセンティシティ」(講演者:公益社団法人京都市観光協会(DMOKYOTO)福永香織)
  3. 講演②-2「繰り返された京都らしさの議論-形作られた都の表象-」(講演者:関西国際大学 宗田好史)
  4. 見学②重要文化財杉本家住宅並びに意見交換会:「文化財所有者からみる文化遺産の本物や京都らしさ」(案内:杉本千代子)
  5. 見学③錦市場 (案内:金度源)
  6. ~夕食(先斗町納涼床@先斗町いづもや)~
  7. 見学④夜の先斗町 (案内:金度源)

5月19日(日)

  1. 見学⑤旧五条楽園→祇園町南→祇園新橋→西ノ町 (案内:金度源)
  2. 研究会③「まちらしさ」から考える京都らしさ @立誠学区自治会館中会議室
  3. 講演③「先斗町の「まちらしさ」からの京都らしさ」(講演者:先斗町まちづくり協議会 神⼾啓)
  4. 見学⑥千本ゑんま堂 引接寺 (案内:東京大学教養学部 宮崎彩)

(*講演者等の氏名は敬称略)

研修の様子